問題提起 |
坂井@北九州市立八幡病院です。 各地のライブ、鎌倉ライブについて思い浮かんだことをそのまま書かせていただきます。私見ですので、参考になるかどうかはわかりません。 1,各ライブの現状についての感想の緒言 私がインターベンションライブの見学を初めて約8年です。この間に私自身の立場も変わり、(修行中の身か、術者になって責任ある立場になってからか)その見方も大幅に変わりました。見ているポイントが変わったからです。しかし、最後のセンセーショナルなNew Deviceであったロータが出てからもう4年?くらい経ちました。最初の頃は各種学会でもロータのセッションに出て情報を集めていましたが、結局情報を集めても、施設問題でロータが実践できないところの先生方はロータに関する勉強意欲をなくしてしまっているようです。ロータだけの問題ではありませんが、最近のライブがマンネリ化しているのは事実だと思います。 2,壇上と壇下の格差によるマンネリ化 これまでライブは、PTCA未経験者、PTCAをはじめて間もない初心者、1000例以上の経験者にも全く同じものを提供してきました。そして、“日本を代表する術者が、壇上にいる1000例以上の経験を持つ各地を代表する術者と討論をしている姿を、壇下から下々の者が見学するという図式でした。壇上にいらっしゃるのは、各地を代表する術者で、院内には心臓外科のバックアップもあり、ロータを含めてすべてのデバイスが選択可能な施設の先生ばかりです。そのような先生方のみの討論は、田舎にいてPTCA年間100かそれ以下で心臓外科もない施設の先生方には、別世界の話を聞いているようでした。それが下々の先生方にはマンネリに写るのだと思います。このような先生方は発言はされませんが、数は圧倒的に多い”Silent Majority”です。 3,ライブや海外の新しい知見に対する勉強意欲の低下によるマンネリ化 昔はPOBAやステントの情報は日本人医師にとっては刺激的でしたが、最近は海外の新しいステント、放射線、コーティッドステントなどの情報をいち早く仕入れても日本での認可が遅く、実際に自分のところで使えるようになるまでには3年ぐらいはかかり、さらに施設基準などあれば使えません。それなら使えるようになってから最新情報を仕入れれば良いと思うようになり、最新の海外データなど他人事のように思えるようになってしまいました。もちろん齋藤先生のような第一人者の先生方は、いち早く使用できる環境でいらっしゃるので我々との立場は違うと思います。”Silent Majority”の先生方(地方の病院のチーフクラス)は、ライブでの手技が数年来変わらないこと、海外の新しい知見をライブなどでいち早く知ることの意欲の低下があり、ライブへの出席の必要性に疑問を感じているかもしれません。 4,同じ術者や手技の固定化によるマンネリ化 一人の先生がされるライブは2〜3回も見れば、その先生の考え方、インターベンションの癖などわかるようになります。ですから、同じオペレーターで10回もすれば飽きられるのは当然です。各地のライブに行っても、結局術者は全国で10〜20人程度の先生が入れ替わり立ち替わりされているように思えます。海外のライブでも患者の前で、この症例に何をするか?という議論は長く続きますが、一旦方針が決まれば、その手技は決して珍しいものではないように思えます。 5、Silent Majority(静かなる大多数)の先生方が求める情報 田舎では、有名な先生のいる大病院で修行した後自分で独り立ちしてインターベンションをされている先生ばかりでなく、むしろあまり多くの症例を見たり経験したりしていない先生方が多くいらっしゃいます。私の故郷長崎県でも160万の人口に対して23施設あり、さらに4施設が計画されています。しかし、緊急に耐えうる心臓外科を持っているのは4施設にすぎません。このような現状が良いかどうかは別にして、これが現実です。中小の病院に所属する先生方は、自分の手技がスタンダードなものかどうかが気になるので、各ライブに出席されているようです。しかし、実際に手技をされるのは多くの経験がある先生方ばかりで、齋藤先生のように5Fr.TRIをされても全然問題ないような先生の手技を見ても、即それを取り入れることなどできない段階の先生方が多いのです。 それらの先生方が求める情報は、自分たちと同じ境遇、同じ年代の先生方の考え方、手技です。そのような情報は身近に感じられ、すぐ飛びつき自分も実践してみようと思うのです。すなわち、同じ情報でも誰から得たかの違いで、身近に感じたり、遠くに感じたりするものです。そこで、私はハウステンボスにおいてSilent Majorityの先生のために、Silent Majorityの先生方に意見を発していただきました。Silent Majorityの先生方はTRIでロータができる事実も知っていますが、ヨソのカテ室の普段の姿(診断造影も)にも大いに興味があります。 6,鎌倉ライブ(2日目)の改革 今回、齋藤滋先生から鎌倉ライブを変えたいという希望をお聞きしました。初日は中、上級者向けのライブ(今までとほぼ同じ形式だと理解しています)を行い、2日目は初心者向けのライブをしたいということですよね。このような改革を決意されたことに敬意を表し、2日目に関して私の私見を述べさせていただきます。 6-1,誰のための会かをはっきりさせたらいかがでしょうか。 例えば、“この日1日は、TRIをこれから始めるか、まだ始めたばかりの先生方の為の会である”、“Silent MajorityのためのTRI講座”などという趣旨をタイトルなどではっきり知らせるべきです。 6-2、日本語OKというのは必須である。 数年前から齋藤先生は鎌倉ライブを英語でされるようになりました。その為、ライブが格調高いものになり、また海外の先生方との交流に大きく役立ったことと思います。しかし、ますます下々には遠い存在となり、Silent Majorityの参加意欲の低下をもたらしたとも思います。2日目は是非日本語OKで行くべきです。まず参加しやすい環境を作りましょう。日本語なら微妙な表現も伝わると思います。 6-3、ライブは必須か? ライブは予期せぬ事など起これば見ている人は面白いでしょう。しかし、TRI初心者の先生方に解説をしながら穿刺、手技、止血を見せるのは限られた時間内で何例見せられるか、何人の術者を見せられるかの限界があります。 そこで、ビデオライブなどはいかがでしょうか? 前もって5-7つ程度の病院(あまり有名ではない病院も多く含む)を取材し、その手技をビデオに収めます。それを編集して、使用する道具、穿刺法、診断カテーテルの種類、止血法、スパスム対策、右心カテなどに分け、それぞれの病院の先生方のインタビューも入れたビデオを流し、会場では討論や質問を受け付けます。それなら、短時間でいろんなレベルの先生方の意見や手技を集約的に見ることができます。討論も努めてSilent Majorityの先生方にしていただきます。 6-4、鎌倉ライブは変わったと思わせることが大切です。 今までのライブに閉塞感がでて来た現在、必要なことは“鎌倉ライブが変わった”と思わせることです。小泉旋風と同じです。(小泉氏は横須賀だそうですね) 出席された先生方は何か変化を求めているでしょうし、印象に残らせないとお金をかけてやる意味がありません。どうせ壇上に上げるなら、常にフレッシュなメンバーで、数多く上げた方がそれらの先生方の印象の残り方が全然違います。招待などせずとも喜んで壇上に上がる若い先生方は各地にいらっしゃると思います。また壇下にいる先生方も自分たちとほぼ同じ境遇の先生方の意見は大変参考になるはずです。 6-5、近い将来にはインターネット回線ライブも 齋藤先生もおっしゃっていましたが、近い将来にインターネットを利用して安い回線使用料でライブができるかもしれません。そうなれば、一つの会場で各地方の5つぐらいのカテ室を結んでのライブができるようになるでしょう。毎年違う5施設ぐらいのライブ(各地方の中堅病院クラス)を計画すれば、数年間で数十のカテ室を見ることができます。ただし、土、日にするなら国公立病院は無理ですが・・・・ 6-6、鎌倉ライブの今後の位置付け インターネットライブに参加できるような中堅どころで、各地でがんばっている病院の登竜門としての鎌倉ライブの位置付けも面白いと思います。鎌倉からライブに参加しないかと声をかけられることが、若くしてがんばっている先生方のステータスになったり、励みになるかもしれません。声がかかれば、“いざ、鎌倉”と参加する施設はたくさんあると思います。そうなればむしろ、TRIのみにこだわる事無く、是々非々で次の世代にアピールするすべての事を受け入れるような、政治色の薄い、リベラルな若い世代のライブというイメージも悪くはありません。 齋藤先生が日本で始められ、しだいに広まりつつあるTRIは、今後確実に日本の主流になるでしょうが、それは世代交代と密接に関連しています。ですから、世代交代が進む5-10年後には、TRIなど当たり前となり、TRIにこだわるライブの使命も終わるのは目に見えています。今は若い先生が注目しているTRIをメインに据えながら、良い物をすべて受け入れるようなリベラルさを売り物にしたら長続きするでしょう。 ************************ Hideaki Sakai Kitakyushu city Yahata Hospital E-mail: sakai@radialist.com Home Page:http://www.radialist.com ************************ 鎌倉ライブデモンストレーション実行委員の皆様方へ そろそろ第8回ライブデモンストレーションについて真剣に内容を考えていかねばならない時期になってきました。かねてより、諸先生方にも打ち明けていますように、この機に内容を変えていく必要があると考えます。 是非委員の先生方も内容をご検討され、ご意見をお願いします。私自身も一生懸命考えその内容をメールで送らせて頂きたいと思います。 実はこのメールは4/30に頂いたのですが、僕自身の忙しさや何となく世間が嫌になったりして、皆様方にご相談するのが遅れてしまいました。やっと新しい自転車が来て気分も晴れて来ましたので、遅ればせながらご相談させて頂く次第です。 齋藤 滋 齋藤 滋先生御侍史 非常に貴重な、そして当然というかまっとうな御意見です。ありがとうございます。神奈川県内は神奈川PTCA研究会のおかげで、ざっくばらんなお話が色々な先生方から聞けて恵まれた環境にあると思っています。しかし、自分のやり方が本当に正しいのか、患者さんのためになっているのかなどと自問自答しながら、私自身も出来るだけ各地のライブを覗いているのですが、常日頃、最近の各地のライブについて漠然と感じていたことを明確に示していただけました。まだ先ほど読ませていただいたばかりで私としての意見が述べられないのが情けないのですが、これを参考に考えていきたいと思います。 私自身は残念ながら坂井先生と面識はございませんが、貴重な御意見に感謝の意を宜しくお伝え下さい。 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 北里大学病院循環器内科_/_/_/_/_/_/_/ _/_/ office: kurosawa@med.kitasato-u.ac.jp _/_/ _/_/黒澤利郎_/_/ _/_/ i-mode: tkurosawa@docomo.ne.jp _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 前略,失礼いたします. 先生の自転車はマウンテンバイクですか,スポーツタイプですか? しかし西部病院に戻ってから,手技自体のすばらしさは当然ですが,患者の入れ替えから,準備,症例のマネージの仕方,(2枝に対するPTCAで1枝終了後,心不全が増悪し(発覚し??)PTCA中に挿管してもう1枝に対するPTCAを行い,先生がご家族にMTしに行ったことなど・・・)非常に興奮しながら皆に話したことを憶えています. 実際に「現場」にいない「ライブデモ」ですから,そこまでのインパクトは難しいかも知れませんが,やはり「興奮して帰りたい」と思います. では,どうすればよいのかは難しいと思いますが, ・単純に手技・テクニックとしてのライブ提示 板井先生のおっしゃるとおり,有名な先生方の意見は既に講演や著書などでも周知でしょうし,若い先生方の(No2,No3の先生)反No1的意見などあれば,話は尽きないでしょう. -------------------------------------------------------- 榊原雅義 聖マリアンナ医科大学 循環器内科 e-mail address: m2sakaki@marianna-u.ac.jp TEL: 044-977-8111 内線3313、3314 FAX: 044-976-7093 216-8511 神奈川県川崎市宮前区菅生2-16-1 -------------------------------------------------------- 斉藤先生へ facultyの件は賛同いたします。 ライブにつきましては、数年前に比べるとどのライブも新鮮味に欠けてきているのは事実だと思います。しかし、鎌倉ライブにつきましては、TRIというメインテ-マもはっきりしており、いままでの歴史もあるのでそれを生かしてゆくのが良いと思います。 言葉につきましては、英語の重要性については僕自身も大変苦労していますし、日本人の気質を克服するためにも英語はのこすべきだと思います。ただ、今年の日循の様に日本人同志が、会場に外人もいないのに英語で討論をしいられているのは本質を忘れているのではないかと思いました。ですから、多少の許容範囲は設けてもいいのかなと思います。 基本的には、先生のコンセプトに賛成です。 村松俊哉 齋藤 滋先生御机下 先生の問題提起読ませて頂きました。 数年前から鎌倉ライブは、先生の御考えに皆が共鳴し、アジアをはじめとして、世界じゅうからドクターに参加して頂き、交流をしてきました。そして実行委員の皆様も、努力をされて会の運営をされたと思います。海外の先生方をお呼びするとなると、やはりコミュニケーションの為の言語が必要です。 一方、坂井先生の言われるように、英語を使うと言う事で、参加しづらい会になっている事も事実でしょう。 プログラムを土曜日と、日曜日で異なる内容にし、土曜日をどちらかと言えば、初級者の為の内容にすることについては賛成です。勿論その際には、コメディカルやナースも視野に入れた内容になるのでしょうか。そうすれば当然言語は英語に限らなくても良いと思いますが、会場に海外からの先生等が参加されていると、その方々には討論や質問などの内容が理解出来ず、つまらない思いをする可能性があります。(海外からの先生方はインターベンションの専門家でしょうから、手技やその課程については分かっておられると思います。それよりも各先生方が、日本の初心者の先生方の質問や疑問点を知る事で、自国での初心者の教育の助けになるのではと思うのですが。) 私は、1980年代に初めて海外のライブ(といってもはじめはビデオライブでしたが。)に参加して以来、東京ライブに術者として参加したり、国内の各地のライブに参加したりしてきました。先生が述べられたように、中には自己満足的なライブや、少数の施設でしか使えないような、あるいは常に置いておけないようなデバイスや診断装置を用いたりして、坂井先生の言われるように一般の大多数の施設の先生には縁遠いものになっているものも数多く有るように思えます。 しかし、鎌倉ライブは初期からTRIをメインテーマに行ってきました。この方針で一貫して行う事は、決してマンネリではなく、見識と言うものと思いますが、いかがでしょうか。 今回のライブは、TRIをテーマに初心者から、ベテランまでが得る物が有るという会にしたいですね。特に前回まではTRIがテーマであって、1ー2例は穿刺から始めていましたが、坂井先生の言われるとうり上級者向けであったかも知れません。 今回は、特に初日は、初心に帰って、改めてTRIの普及(どこまでできるか、出来ない例とは?など誰にでも理解できる様に)に寄与するような会にしていきましょう。 土曜日プログラムの出版化、大いに結構な事です。これを見れば、TRIをこれから行おうとする人や、始めたばかりの人の疑問点が解決される様な内容に編集したらよいとおもいます。 まだまだ、考えねばならない事が有ると思いますが、まずは第一報ということで、勝手な私見を述べさせて頂きました。 -- 日比谷 和平 k-hibiya@ttv.ne.jp 坂井@北九州市立八幡病院です。 齋藤先生の意見書を読ませていただきました。 鎌倉ライブを今までと違ったものにしようという改革意識が大いに盛り込まれた内容で大変良いと思います。私の意見を取り入れていただいた所もあり、有り難うございました。(まだ決定したわけではありませんが) 特に鎌倉ライブを”TRIでここまでできるんだ”という過去の宣伝ライブから、土曜日を”How toもののTRI教育の場”に変えることと、それらの発表内容を著作権フリーにしていただいて、本やCDなどで参加者以外の先生にも配布可能なシステムの提案は他のライブとの違いを際だたせるもので、”日本のTRIライブ”としての鎌倉ライブの位置付けを不動のものにすると思います。 過去において九州のRadialist達は、齋藤滋先生(あるいは関東の先生達も?)がPCIをRadialからするのに、診断造影をBrachialからすることが全く理解できませんでした。九州ではRadialに移行するのにはまず診断造影の4、5Fr.を経験し、シース挿入、圧迫止血、術後管理などにコメディカルも含めて慣れた後、インターベンションを始めるというのが当然と考えられており、実際にインターベンションのみをTRIでする施設は一つもありません。ですから、まず知りたいことはインターベンションのノウハウより、診断造影のノウハウだったのです。せっかく横浜まで行ったのに、自分たちの知りたい情報に乏しいライブにがっかりする先生もいました。 後でわかったのですが、その違いの原因は施設規模(症例数や循環器医の数)の差であったようです。大きな施設であれば、インターベンションの術者と診断造影担当は明確に分けられています。九州ではインターベンションで先駆していた大きな施設が当初こぞってTRIに反対し、Radial Approachに注目したのは症例数の少なく、かつチーフの年齢が40才以下の施設、すなわち診断造影からインターベンション、合併症まですべて自分で見なければならない施設、年齢のドクター達でした。ですから大規模な講演会やライブなどを開催することもできず、我々はお互いのカテ室見学などを通してノウハウの改善や普及を図りました。21世紀になりやっと講演会開催にこぎつけ、我々が”地下のレジスタンス活動”から地上に出て空気を吸えるようになったのと同時にK病院でも木村先生が始められ、やっと市民権を得たような気持ちです。ハウステンボスの影響は大いにあったようで、その直後から九州大系、福岡大系、産業医科大系でも広がり始め、先日ついに齋藤太郎先生の熊本中央病院がTRI解禁になりました。 九州のRadialist達のこれまでの活動、ノウハウが”新しく生まれ変わる鎌倉ライブ”や全国のこれからTRIを始めようとする施設のお役に立てれば、みんな喜びます。 すべてのことが1年目からうまく行くのはありえないことで、1年目は”鎌倉ライブが変わった”と思わせることが最も大事なことだと思っています。細かい軌道修正は前年の反省から翌年すれば良いので、そういう意味では齋藤先生の問題提起書の内容を私はほぼ全面支持します。 P.S. ただ1点だけ。 湘南鎌倉総合病院のカテ室を使用して、しかも齋藤先生がリーダーでされるので、”横浜、神奈川、日本”ではなく、やっぱり”鎌倉”という名称は外せないんでしょうね・・・・・。(齋藤先生はずっと湘南鎌倉総合病院にいらっしゃるつもりなのですね) ************************ Hideaki Sakai Kitakyushu city Yahata Hospital E-mail: sakai@radialist.com Home Page:http://www.radialist.com ************************ 齋藤滋先生は非常に心の広い方と信じていますので、勝手な意見ばかりで申し訳ございませんが私見を書きつづらせていただきます。 鎌倉ライブ実行委員会に参加させていただいて考えたこと(今回のような提案が出される前にも時々考えていましたが) 言語の問題 実はいつも当院のコメディカルも参加させていただいているのですが、病院に帰ってから必ず言われるのが何故英語なのかということです。国際的視野に立って、ということを説明するのですが、英語の苦手な私が言ってもあまり説得力がありません。実際、基本的な手技を知りたがっている人には、メディカル・コメディカルともにニュアンスを知りたいわけで、英語では判らない部分が多いと思います。正直申しまして私も、ちょっと知りたいコツ、ということでは質問するのがためらわれます。したがって、for beginnersのセッションでは日本語中心でよいのではないでしょうか。海外の著明な術者の方々にはbeginnersの素朴な、ここでしか聞けないような質問はあまり関係ないでしょうし。Mainのadvanced courseは従来通りでよいと思います。ここは先生の信念を押し通したほうがよいと思います。私自身は毎年鎌倉ライブの季節が来ると緊張してしまいますが。 TRIへの限定および術者限定の問題 テーマはTRIでよいと思います。正直申しまして当初は私自身もTRIという手技は齋藤滋先生のようなテクニシャンが華麗に行うもので、一般術者には縁遠いと思っていました。しかし、現在は大学病院にいるため教育的立場から(何が教育なのか最近は自分でも判らなくなってきていますが)TFIが中心ですが、もし一人で市中病院に行ってPCIを手がけるなら、おそらくTRIが中心になるだろうと思います。慣れてしまえばカニュレーションの問題もあまりなく、止血など術後管理も画一化しやすく、ということは患者さんにもcomfortableで、よっぽどcomplex lesionでなければTRIになるだろうと思います。この手技を教えていただきよかったと思います。つい先日も大動脈炎症候群で両鼡径に全く拍動を触れず、AMIを発症した患者さんが来院し、TRIで無事stentingを行いましたが、このようなときにも日頃のTRIの技術・知識が役立ちます。齋藤滋先生の努力で日本においてここまで市民権を得た手技ですから、齋藤滋先生の手技で基礎から限界まで討論することが最もふさわしいのではないでしょうか。私としては初期の小倉ライブに対してもそのように思っていました。広くPTCAという手技が広まったのは、やはり延吉先生が全国を回って地道に実践を示して普及活動をされたからだと思います。当院でも最初の症例は延吉先生に来院していただきstartしました。 あと、症例によって、例えばこのくらいのcomplex lesionは齋藤滋先生であればこんなふうにTRIでやってしまうけど、TRIの経験が100例以下ならTFIの方が良いよ、というようなコメントが頂ければよいと思います。特にbeginners sessionでは、beginnerの先生方が何が何でもTRIで、と思わず柔軟な頭の切り替えをしていただくためにも、必要ではないでしょうか。 壇上のメンバー Silent Majorityの参加、は基本的には賛成です。私自身もそうだと思っていますので、所謂著名人に交じって発言できる機会を与えていただくのは非常に結構だと思います。特に、ある程度の規模の施設の第2あるいは第3術者あたりは、日頃の手技との違いなどが一番鮮明に出てくるのではないでしょうか。 ただ、自分の立場に置き換えれば、英語というのは結構Pressureになると思いますが。 症例数 これは今までの通りで宜しいのではないでしょうか。齋藤滋先生の御提案のように、for beginnersのセッションでは少なめ、ゆっくりめで、余裕をもってというように、セッション毎の配分が出来ればよいですね。ただ、いつも当院のコメディカル・スタッフ達と話しているのですが、カテーテル室スタッフも大変でしょうが、患者さんを出し入れする病棟スタッフもさぞかし大変だろうということです。お疲れ様です。 アカデミー? 臨床におけるアカデミーとは何なのでしょうか。実は最近、私自身に非常に重くのしかかっているテーマなのです、Interventionにかかわらず。大学病院にいる身で何言ってんだと叱られそうですが、当院のように私立の地域基幹病院的な大学病院では大きな問題点だと思っています。循環器領域に限らず、大学病院の専門家は論文数によって決るというおかしな事実がまかり通っています。もちろん基礎実験が大切であることは判りますが、ラットやマウスでしか病気を診たことのない人がヒトの病気の専門家とは限りません。種特異性の非常に強い疾患ですら大学ではそのようなことがまかり通っています。 ライブ・デモンストレーションは患者さん不在ではいけません。治療そのものですから当たり前ですが、臨床に密着したライブこそ存続価値があるのではないでしょうか。一人ひとりの患者さんからわれわれが経験したことを積み重ねていってevidenceを導き出すようにしていけばいいのではないでしょうか。製薬会社がバックについたEBMには落とし穴が一杯あると思いますが、経験豊富な心ある術者がじっくり積み重ねていった臨床経験は素晴らしいevidenceを導き出してくれると思っています。したがって、私としては大きなmassのデータよりも、齋藤 先生が積み重ねていったデータを教えていただきたいと思います。 各ライブの位置づけ_あくまでも私見です 小倉:数年前から何か内容が変わってしまった気がします。以前はいつも延吉先生がおっしゃっていたように、いつもの自分たちのカテーテル室をそのままお見せしますの言葉通りで、豊富な臨床経験から得るものが多く毎年通っていましたが、最近は新製品の顔見せ的な内容になっている気がします。もちろん各社のしがらみがあり、小倉記念病院ほどのビッグネームとなればいたしかたないことだと思いますが。でも延吉先生の、私の経験ではここにはstentは入れる必要はありません、などの言葉はいつも勉強になりますし、実際の場で非常に参考になります。 倉敷:現在は教科書的な、あるいはわが国における標準的手技を見せるということでまとまっていると思います。その中に新しいトピックスをちりばめ、プロデューサとしての光藤先生の手腕を感じさせます。ちょっと規模が大きくなりすぎた感じはしますが、若手の、PCIに興味を持ち始めた先生にはお勧めしています。 CCT:私の病院では、自分の手技がある程度完成している若手にしか行かせていません。自分ではこの頃毎年ちょっと見に行っていますが。いざというときにはここまで出来る、あるいはここまでやってはいけない限界を知る、trouble shootingとしてはためになると思っています。加藤先生や玉井先生が患者不在の医療をやっているとは信じたくないですが、ただ、見様見まねで患者不在の医療をやっている若手医師がいることも事実と思います。症状のないCTOにやたら固執したり、何らCABGのリスクのないLMT病変あるいは三枝病変に経験の浅い術者が挑んだり…….、経験豊富であれば今の時代禁忌とは思いませんが。このような弊害を生み出してしまったことはありますが、日本の大きなライブの一つとして確立した感はあります。 鎌倉:TRIライブ!齋藤滋ライブ!!です。私は基本的には同じスタンスで持続させていいと思っています。ただ、前述しましたように教育的位置づけを坂井先生のおっしゃるように取り入れて行く必要があると思います。TRIの限界を極めることも大切ですが、安全な手技として定着させる、そのためにはTRIにこだわり何時間も手技を費やすような術者には警鐘を鳴らす、経験の浅い深いでguide lineのようなものを作っていく、等が今後必要だと思います。齋藤滋先生の警鐘であれば皆が聞き入れると思いますし、教育的にもビデオ化、CD化は非常に役立つと思います。 その他の地方ライブ:正直申しまして(それほど片っ端から参加しているわけではありませんが)あまり全国レベルで存続価値のあるものはないのではないでしょうか。坂井先生も行っておられたように、他のライブと同じ術者が、他のライブと同じような病変に対して手技を施行しても、興味は続きません。私自身がもしライブを行うなら、どうせなら地元の開業の先生、おそらくinterventionを目の当たりに見た人は少ないと思いますが、などをお招きして、開業の先生方から紹介していただいた患者さんをその先生にもカテーテル室に 入っていただき治療する、というようなことをやりたいなあと思っています。で、著名な先生にPCIの適応と限界のような基礎的な教科書的な御講演を頂いて。 以上、勝手なことばかり書き連ねて申し訳ございません。 黒澤利郎 |
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